M.Hさん × K.Tさん
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構造設計の仕事をしていて面白いところ、やりがいを感じるところ
- K.T構造設計は目に見えないところを設計する仕事で、縁の下の力持ちといったところが好きなところです。
- M.H建築の分野の中では、デザインのように目に見えるところではないけれど、
建物が成り立つ一番重要で大切なところを自分が担っているというところがいいということですよね。
- K.Tあとは、人の命にも関わるところなので、責任があるという仕事に対してやりがいを感じます。
- M.Hすばらしい!!
- K.TH主任のやりがいはどんなところですか?
- M.H建築の勉強を始めたときはだいたい皆さん同じだと思うんですが、
最初は建築って意匠をやっている方がかっこいいかなと思ったこともありました。
でも構造やっていて、Tさんの言うとおり、一番重要。
構造がないと建物は成り立たないし、人命にも関わります。
仕事している最中に、「本当にこれでよいのかな?」と怖くなることもあります。
- K.Tそうですね。
私もお客さんの方で用意して頂いた資料を見て判断がつかないところを一人でやる時は不安になります。
もちろん先輩に確認して最終的には進めるのですが、自分で判断しなければならないところは日々の仕事ではありますからね。
- M.H地震や風って実際にどれくらいのものが起こるかわからないので、いくら法律で決まっているとはいえ、漠然としているところもある。
もしかしたら地震は来ないかもしれないし、反対に想定以上の地震が起こるかもしれない。
それがわからないところで決断しないといけない。
実際自分が設計した建物で、被害やトラブルが現場で起こったらどうしようと考えながら決断するのは結構なプレッシャーになります。
設計者の裁量で決めることは多々あります。
同じ建物でも、誰が設計するかによって変わってくるんです。そこが難しい点です。
そういった判断が難しいものを試行錯誤して設計を完了させたときの達成感がこの仕事のやりがいです。
また、安全とは何かというところの話になるのですが、熊本の地震では、震度7が2回起きましたが今の法律は震度7が2回きても耐えられる設計基準ではないんですよ。
今の法律では、震度7の地震は建物が建っている間に、1回起こるか起こらないかの確率と想定されていて多少損傷はするけれども倒壊はしない=人命は最低限確保できるという規準なんです。
あと、九州は東京より想定している地震が1~2割小さいんです。
地域で規準が異なるという問題もあるんですよね。
しかし一方で金銭面の問題もあります。
ディベロッパーさんは、例えば、この規模のマンションだったら単価がいくらかどうか情報をもっているのでコストダウンを要望されますね。
設計も長引けば長引くほど、人件費がかかります。
それらのコストがかかれば、マンションの価格も上がってしまうんですよね。
なのでディベロッパーさんにとっては死活問題なんです。
部下から上司へ(仕事編)
- K.T仕事している中で、なるべく他の人が見やすいようにしようと考え、時間をかければかけるほど見やすくなるんですが、時間をかければ良いというものでもないと思いますし、その加減が難しいんです。
- M.Hそうですよね、伝わらないとだめだしね。
それは状況によって変わってくるんですよ。
今は何を優先するべきなのか、時間なのか、内容なのか。
もうどうしてもここで仕事を切り上げないといけないという状況になったらもうそれはある程度は割り切らないといけないこともある。
ただし、自分の中で最低ラインがある。このままお客さんに出してしまったらいけないというライン。
これは仕事をしていくと感覚的にわかってきます。
- K.T経験を積むとわかってくるんでしょうか。
- M.Hそうですね、経験を積まないと判断できないことってたぶんあるんでしょうね。
新人の頃は判断するよりどころがないので、判断できないと思うんです。
私もそうだったと思います。20年前と今では全然違いますし、当時だとどうやったらいいかわからなかったことも、仕事に慣れてくると、こういう風にここは指示したらいいとか、だんだん判断できるようになってくると思います。
やっぱり経験ですね。
判断材料を、仕事の中や勉強していく中でいかに吸収していくか。
あのとき、あの判断をしたから、今回はこういう判断をしようとか。
経験したことがない仕事をしたら、自分で判断できないこともあります。
そういう時はお客さんに相談することもあります。
Tさんも仕事するときに相談したりしますよね?
- K.Tはい、します。
- M.Hそれと一緒ですね。
- K.Tすぐにはできないということですね。
- M.Hそうですね、積み重ねていくしかないんです。
部下から上司へ(プライベート編)
- K.T競馬の話を朝礼でされていましたが、今も休日はされているんですか?
- M.H今はほとんどしてないよ。
- K.T最近はなにされているんですか?
- M.H新聞やネットで情報を見るくらいかな。
- K.T馬券ももう買ってないんですか?
- M.H昔は競馬場に行ってよく買っていたけれど、もう当たらなくなっちゃって最近買ってないな。
ギャンブルは元々あんまり好きではないんだけど、競馬だけは知人の影響ではじめたんです。
競馬は、いろんな人が関わっていて、応援したり、予想したりするんですが、予想するのが一番面白いところ。
予想するという点では、設計と共通するところがあるんです。
- K.Tそこにつなげましたかー!!!(笑)
(ここから、予想することは設計と共通するということから、設計の話題に)
- M.H構造って力のバランスじゃないですか。
どこに力がかかっていてどこが重いか軽いか。
コンピューターや電卓で計算して結果が出るんですが、人がやる事なので絶対大丈夫とは言えないので繰り返しやりながら、ここは軽いはずなのになぜ重いのか、なぜここに大きな力がかかっているのか、そういうのはやっていると感覚的にわかります。
自分が想定してやっているものが違ったら、なぜだろう?と考えて進めていく中で、自分の想定が合っていることも、逆に新たな発見をすることもあります。
地震って不均質なもので、ボーリング調査結果も不確実性があり、想定しなければならない事もあります。
その想定した条件で建てていく=仮定ですね。
100%これで大丈夫というのがないんです。
構造設計は計算ソフトや電卓を用いて計算した結果が妥当かをどうかを設計者が判断します。
計算している人が入力を仮に間違えれば間違った結果になるし、プログラムも万能ではないので、ちょっとイレギュラーなことをすると間違った計算をする場合もあるんです。
複雑な形状の構造だと計算ソフトが途中でストップすることもあります。
- K.T難しいですね。100%の建物って作れないんですね。
- M.Hお金をかければなんでもできるかもしれないけどね。
原発は、普通の建物よりずっと頑丈につくられているんです。
でも断層の上に建てたら絶対安全とは言い切れないしね。
お互いの印象について
- M.HTさん、几帳面ですね。
はじめのころ、練習で手書きで計算書をつくってもらったとき、
すごくきれいで、慣れている人が計算したのかなと思ってしまったほどでしたよ。
びっくりしました。
Tさんのいいところですね、私にはできません(笑)
- K.T構造設計をやる方は几帳面な方がむいていますか?
- M.Hはい、几帳面はむいていると思います。
やっていることが細かいので。
ただ、全体を見るために、ざっくり考えることも大事になってきます。
両方できればベストですね。
では、Tさんが持っている私の印象はどんな印象ですか?
- K.T入社したときはH主任は外勤(プロジェクトをまとめるために客先で業務を行う事)で
社内にはいらっしゃらなかったので、どんな人がイメージつきませんでした。
外勤から戻られたあとも、私が1年目の時は一緒に仕事することがなく、どういう方かわかりませんでした。
2年目から一緒に仕事させていただくようになったのですが、最初はH主任のイメージしていることがよくわからなかったんです。
でも回数を重ねていくうちにだんだんとイメージしているものが近くなってきたのではないかと思えるようになってきました。
(実際はどうかわかりませんが・・・。)
上司が見る部下の成長、今後について
- M.H一緒に仕事をするようになって約1年ですが、だいぶ慣れましたよね。
- K.Tはい、最初に比べれば慣れてきました。
- M.H私が言わなくても、工夫して、自分で作業してくれているので助かっています。
作業自体は任せていて結果を確認するくらいになっています。
midasとかTさんが得意としているソフトがありますよね。
STAADも、使えないときにはmidasでデータをつくったりと工夫してくれています。
これができなかったらこうしようと、言われなくても自分でやってくれています。
すばらしいです。
今は私が指示した仕事をするだけなので、今後は自分で仕事を一つ持って、どんどん経験していってもらいたいですね。
そうすればもっと判断力もつけることができると思います。
私もTさんがそのように仕事ができるように、サポートしていきたいと思います。
今は直接お客さんとやりとりする機会が少ないと思いますが、それが増えると、もっと仕事が自分の裁量でできるようになるんですよ。
そうするともっと仕事が面白くなると思います。
人から指示をもらって作業していると自由が効かないといった感覚があるんじゃないかな?
- K.Tそんなことはないです。
- M.Hそれなら自分で仕事を受け持つようになったら自由度が広がったと思うかもしれない。
私も最初はわからなかったので。
自分でスケジュールを組んで、部下に指示をしたりできるようになると、もっと視野も広がると思う。
私も今それを実感しているんです。
Tさんにはもっと経験を積んでもらえるように仕事を渡したいと思っているので徐々にそうしていけるようにしていきますね。
- K.T期待していただいていると思うので、それに応えられるように日々の仕事はもちろん、勉強もしていって少しでも早くお客様対応がひとりでできるようになりたいと思います。
- M.Hぜひ、お願いします!
- K.TH主任を越えられるようにがんばります。
- M.H普段こういった話ってなかなかする機会ないので新鮮ですね。
- K.TH主任は普段誉めることはほとんどないので、
この場でこういった話ができてよかったです。
誉められて伸びるタイプです!(笑)
- M.H恥ずかしいんですよ(照)
ライフ設計事務所 構造設計部について
- M.H構造設計事務所としては個人事務所よりは大きく、20名を超える技術者がいます。
小規模な設計事務所よりは人材が多い分、いろんな人がいて、業務内容も、一般建築、プラント、図面をかいたりといろんな仕事ができます。
若い人もたくさんいて、勉強会も行っていたりと、仕事がしやすい環境だと思います。
- K.T私が会社を探しているときに、社員の人のインタビューなどを参考にして会社選びをしていて、社内の雰囲気、人間関係、仕事のやりやすさについて重要視していました。
ここに会社見学に来た時に、思っていたより雰囲気が硬くないという印象を受けました。
ライフ設計事務所の構造設計部は、わからないことがあって先輩に一つ質問すると10の情報が返ってくる環境で、知識をどんどん習得できます。
構造設計士として成長するにはとてもいい環境だと思います。